エラボトックスが国内承認|ボトックスビスタに「咬筋膨隆」が追加されました

「エラのボトックスは、日本で認められていない使い方だと聞いた」
これまで、その説明は正しいものでした。エラ(咬筋)へのボトックス注射は、国内で承認された効能・効果の範囲外だったからです。
それが変わりました。2026年8月、ボトックスビスタの添付文書が改訂され、「65歳未満の成人における咬筋膨隆」が効能・効果に追加されました。エラのボトックスが、日本で正式に承認された治療になったということです。
この記事では、何がどう変わったのかを、添付文書の記載にもとづいて正確にお伝えします。
何が承認されたのか
アッヴィ合同会社アラガン・エステティックスのボトックスビスタについて、添付文書が第4版(2026年8月改訂・効能又は効果、用法及び用量変更)となり、効能又は効果は次のようになりました。
| 製剤 | 効能又は効果 |
|---|---|
| ボトックスビスタ 注用50単位 | ・65歳未満の成人における眉間又は目尻の表情皺 ・65歳未満の成人における咬筋膨隆 |
| ボトックスビスタ 注用100単位 | ・65歳未満の成人における咬筋膨隆 |
ポイントは2つあります。1つは、従来からある50単位の製剤に咬筋膨隆が追加されたこと。もう1つは、咬筋膨隆のために100単位という新しい規格が承認されたことです。
「咬筋膨隆」とは
歯ぎしりや食いしばり、硬いものを噛む習慣などによって咬筋が発達し、下の顔が横に広く、角張って見える状態を指します。いわゆる「エラが張っている」状態のうち、筋肉が原因のものが、この診断名にあたります。
※100単位の製剤は、2026年8月時点で販売準備中と案内されており、まだ発売されていません。
これまでと、何が違うのか
医薬品には「承認された効能・効果」が決められています。承認の範囲外で使うことを適応外使用といい、医師の判断で行うこと自体は認められていますが、次の違いがあります。
| これまで(適応外使用) | これから(承認された効能・効果) | |
|---|---|---|
| 国が有効性・安全性を審査したか | 審査されていない | 国内の臨床試験にもとづき審査された |
| 打つ量や場所の決め方 | 医師ごとの経験と判断 | 添付文書に用法・用量が定められている |
| 医薬品副作用被害救済制度 | 対象外となることがある | 対象になりうる |
| 説明のしかた | 適応外であることの説明が必要 | 承認された効能・効果として説明できる |
とくに大きいのは打つ量と場所が、添付文書で決められたことです。これまでは各クリニックの裁量に委ねられていた部分に、国内試験にもとづく基準ができました。
※医薬品副作用被害救済制度の対象になるかどうかは、個別の事案ごとに判断されます。承認された効能・効果であれば必ず救済されるという意味ではありません。
承認された効能・効果として、ご案内できるようになりました
当院はボトックスビスタとNABOTAの両方を取り扱っています。どちらを使うかは、ご希望と咬筋の状態を診たうえでご相談して決めます。まずは「自分のエラが筋肉によるものか」を確かめるところから始められます。
東京・市ヶ谷(JR市ケ谷駅 徒歩2分)/完全予約制/自由診療(保険適用外)
決められた打ち方
単位数は「合計48〜72単位」
添付文書の用法及び用量は、次のとおりです。
用法及び用量〈咬筋膨隆〉
通常、65歳未満の成人にはA型ボツリヌス毒素として合計48〜72単位を左右の咬筋に各3部位(合計6部位)に均等に分割して筋肉内注射する。なお、症状再発の場合には再投与することができるが、3ヵ月以内の再投与は避けること。
1回の投与量は最大で合計72単位まで、と上限も定められています。
「今まで聞いていた単位数と違う」と感じた方へ
エラのボトックスを調べたことがある方は、40単位や80単位といった数字を目にしてきたと思います。48〜72単位という範囲を見て、戸惑われるかもしれません。
これには理由があります。ボツリヌス毒素製剤の「単位」は製剤ごとに固有のもので、製剤どうしで単純に換算することはできません。添付文書にも、力価は本剤特有のもので他の製剤とは異なり換算もできないと明記されています。
つまり、ある製剤の40単位と、ボトックスビスタの40単位は、同じ意味ではありません。他の製剤で40単位が標準だったからといって、それが少なすぎたという話でもありません。製剤ごとに、その製剤の基準で考える必要があります。
打つ場所にも決まりがあります
添付文書には、注射する位置についても具体的な指示があります。
- 座った状態で、口角から耳介下端(耳たぶの下)へ引いた線より下に投与部位を決める
- 笑筋と耳下腺への投与は避ける
- 歯を最大限かみしめた状態で、咬筋のもっとも厚い部位を最初の注射部位とする
- 各注射部位は互いに約1cm離し、咬筋の前縁からも1cm離す
- 顎の力を抜いた状態で垂直に、咬筋のもっとも深いところまで刺入する
- 筋肉の反応が不均一にならないよう、注射ごとに咬筋の深層と表層へ均等に分ける
笑筋を避けるのは表情の不自然さを防ぐため、耳下腺を避けるのは唾液腺への影響を避けるためです。解剖を正確に把握したうえで打つ必要があることが、添付文書の記載からも読み取れます。
国内試験では、どのくらい効いたのか
承認の根拠になった国内第Ⅲ相試験(jRCT2031230467)の結果です。数字は正直にお伝えします。
| 投与量 | 初回投与から90日目の改善率 | 副作用発現率 |
|---|---|---|
| 48単位 | 40.9%(43/105例) | 5.7% |
| 72単位 | 39.4%(41/104例) | 3.8% |
| プラセボ(偽薬) | 0.0%(0/50例) | ― |
「改善率が4割ほどしかないのか」と感じられたかもしれません。ここは補足が必要です。この試験の「改善」は、かなり厳しい基準で判定されています。
- 対象は、咬筋膨隆の程度が5段階評価で上から2番目以上(marked または very marked)の方
- 判定は、治療後に2段階以上下がった場合のみ「改善」とした
つまり「少し細くなった」では改善に数えられていません。それでも約4割が2段階以上の改善に達し、偽薬では0%だったという結果です。
なお、実際に何単位を使うかは咬筋の発達の程度によって変わります。筋肉の厚みや張り方には大きな個人差があるため、診察で実際に噛んでいただき、触れて確かめたうえで医師が量を決めます。
エラボトックスの症例写真
当院で実際にエラボトックスを受けられた方の写真です。いずれも施術から約1か月後に撮影しています。数字だけでは伝わりにくい部分なので、実物をご覧ください。

中山医師/約80単位/38,000円(税込)/施術1か月後


いずれも梅木医師/約40単位/28,000円(税込)/施術1か月後
施術名:エラボトックス注射(咬筋へのボツリヌストキシン注射)
施術の説明:筋肉の動きをやわらげる薬剤を咬筋に注射することで、噛む力を抑え、筋肉のボリュームを徐々に減らします。
副作用(リスク):痛み・腫れ・内出血・噛む力の低下・咀嚼のしにくさ・左右差・頬のこけ等
使用製剤:いずれも韓国製NABOTA(国内未承認医薬品)を使用した症例です
価格:[極細針・麻酔・技術料すべて込み]28,000円〜38,000円(税込)
※写真は症例の一例です。効果の出かたや持続期間には個人差があり、同じ結果を保証するものではありません。自由診療(保険適用外)です。
自分のエラが「筋肉」かどうかは、触れば分かります
承認されたのは咬筋膨隆、つまり筋肉が発達しているタイプです。エラの張りが骨格や脂肪によるものであれば、ボトックスでは変わりません。歯をかみしめていただき、あごの角を触れば、その場で判断できます。効かないタイプであれば、その旨をはっきりお伝えします。
診察のみのご相談も承っています。当日の施術を強くおすすめすることはありません。
副作用について
国内試験で報告された、咬筋膨隆の治療に関係する主な副作用です。
| 副作用 | 48単位群 | 72単位群 |
|---|---|---|
| 筋疲労 | 1.9% | 1.9% |
| 奇異性咬筋膨隆 | 1.9% | ― |
| 咀嚼障害 | ― | 1.9% |
「奇異性咬筋膨隆」は聞き慣れない言葉だと思います。咬筋の一部の動きが抑えられた結果、噛んだときに別の部分が不自然に盛り上がって見える状態です。
このほか添付文書には、過剰な筋弛緩作用として顔面麻痺、局所性筋力低下、咀嚼障害などの記載があります。重大な副作用として、ショック・アナフィラキシー、眼障害、嚥下障害・呼吸障害、痙攣発作が挙げられています。
次の方は受けられません
全身性の神経筋接合部の障害をもつ方(重症筋無力症、ランバート・イートン症候群、筋萎縮性側索硬化症など)/妊娠中・妊娠の可能性がある方・授乳中の方/本剤の成分に過敏症の既往がある方/他のボツリヌス毒素製剤で治療中の方。
また、65歳以上の方への投与は推奨されていません。
効果は通常3〜4か月で消失し、継続するには繰り返しの投与が必要です。長期間繰り返した場合、中和抗体ができて効かなくなることがあります。
よくあるご質問
- 承認されたということは、保険が使えるようになったのですか?
-
いいえ。承認された効能・効果になったことと、健康保険が使えることは別の話です。咬筋膨隆へのボトックスは引き続き自由診療(保険適用外)で、費用は全額自己負担です。
- 骨格が原因でエラが張っている場合も、承認の対象になりますか?
-
いいえ。承認されたのは咬筋膨隆、つまり筋肉が発達している状態です。エラの張りが下顎骨の形によるものであれば、ボトックスでは変わりません。脂肪やたるみが原因の場合も同様です。診察でどのタイプかを見きわめることが、これまでどおり出発点になります。
- 他社の製剤でエラに打つのは、承認されていない使い方ということですか?
-
2026年8月時点で、咬筋膨隆の効能・効果が承認されているのはボトックスビスタです。他のボツリヌス毒素製剤を咬筋に用いる場合は、承認された効能・効果の範囲外の使用にあたります。
- 効果が出るまでの期間や持続期間は変わりますか?
-
変わりません。筋肉は「使われないうちに少しずつ細くなる」ため、輪郭の変化は1か月ほどかけて現れます。国内試験でも90日目で評価されています。効果は通常3〜4か月で消失します。
- 眉間や目尻と同時に打てますか?
-
添付文書には、臨床試験において咬筋膨隆と眉間・目尻の表情皺を同時に投与した経験はないと記載されています。同時に希望される場合は、医師にご相談ください。
- 前回打ってから、どのくらい空ければよいですか?
-
添付文書では3ヵ月以内の再投与は避けることとされています。効果が薄れてきたと感じても、前回から3か月以内の再投与は行いません。
まとめ
- 2026年8月、ボトックスビスタの添付文書に「65歳未満の成人における咬筋膨隆」が効能・効果として追加された
- 咬筋膨隆のための100単位の規格も新たに承認された(2026年8月時点で販売準備中)
- 用法・用量は合計48〜72単位を左右の咬筋の計6部位に分割、3ヵ月以内の再投与は避ける
- 単位数は製剤ごとに固有で、他の製剤とは換算できない
- 国内試験の90日目改善率は48単位群40.9%、72単位群39.4%(プラセボ0.0%)。2段階以上の改善という厳しい基準での数字
- 効くのは筋肉が原因のエラ張り。骨格・脂肪・たるみが原因の場合は変わらない
- 承認されても自由診療(保険適用外)であることは変わらない
当院でも、診察のうえで適した方にご案内してまいります。エラの張りが筋肉によるものかどうかは、実際に噛んでいただいて触れば判断できます。単位数は咬筋の発達の程度を確かめたうえで、お一人ずつ決めています。まずはご相談ください。
アーモンドクリニックのエラボトックス注射
| ボトックスビスタ | 40,000円/倍量 60,000円(税込) |
|---|---|
| 韓国製NABOTA | 28,000円/倍量 38,000円(税込) |
診察料・カウンセリング(医師が担当)・薬剤代・痛みの少ない極細針(34G)・笑気麻酔・施術後のLINE相談まで、すべて料金に含まれます。当日の追加費用はいただきません。単位数は咬筋の発達の程度を確かめたうえで、お一人ずつ決めています。1ヶ月以内のリタッチは、韓国製NABOTAの場合は通常料金の半額です(ボトックスビスタの場合はカウンセリングでご案内します)。
東京・市ヶ谷(JR市ケ谷駅 徒歩2分)/完全予約制/自由診療(保険適用外)。内出血、腫れ、噛む力の低下、左右差が生じる場合があります。効果や持続期間には個人差があります。
出典・注記
本記事は、ボトックスビスタ®注用50単位/注用100単位の電子添付文書(2026年8月改訂・第4版、効能又は効果、用法及び用量変更)の記載にもとづいて作成しています。承認番号:注用50単位 22100AMX00398000/注用100単位 30800AMX00315000。製造販売元:アッヴィ合同会社 アラガン・エステティックス。
咬筋膨隆に対するボトックス注射は自由診療(保険適用外)です。効果・持続期間には個人差があります。主なリスク・副作用として、注射部位の痛み・内出血・腫れ、筋疲労、咀嚼障害、奇異性咬筋膨隆、顔面の左右差などがあります。重症筋無力症等の神経筋接合部の障害がある方、妊娠中・授乳中の方、本剤に過敏症の既往がある方は投与できません。65歳以上の方への投与は推奨されていません。
記載内容は2026年8月時点の情報です。最新の情報は添付文書をご確認ください。

